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ハラスメントの種類 :セクハラだけじゃない!ハラスメントを正しく理解しよう!

公開日
更新日

 
執筆:須賀 香穂里(ライター)
監修:株式会社とらうべ
 
 
セクハラにパワハラ、モラハラ…
 
いわゆる○○ハラスメントといわれるものによる被害が近年多く報告されるようになりました。しかし、それ以外にもハラスメントには様々な種類がある事を知っていますか?
 
ここでは ハラスメントの種類 具体的な内容をご紹介します。
 
 

セクシュアル・ハラスメント

 
略してセクハラともいわれるこれはかなり有名ですよね。セクシュアル・ハラスメントとは、性的嫌がらせ・性的脅かしを言い、時・場所を考えず、相手の意に反する性的な言動で不利益を与えたり、就業環境を悪化させたりする事象を指します(1)。
 
セクハラの被害を受ける人の多くは女性であるというイメージがありますが、実は男性もセクハラ被害を受けている場合があります(1)。例えば、
 
 更衣室の扉を開け放したまま着替える。
 大声で生理や夫婦間の話題を話す。
 異性との交流関係をからかう。
 
といったものが挙げられます(1)。このような男性へのセクハラは女性が多い職場に多く見られるようです。セクハラを防ぐには、男女ともに「職場に性的な話題を持ち込む必要性がない」を理解している必要があります(1)。
 
また、セクハラの被害を訴えたことによって、二次的な嫌がらせを受けることを「セカンド・ハラスメント」といいます。
たとえば、相談窓口でセクハラの被害を申し立てた時に
 
・「それはあなたに問題があるのではないか」とか「あなたも挑発したのではないか」といったような、被害者に責任があるかのようなことを言われる
・「あの人格者がそのようなことをするわけがない」といった、被害者の発言の真偽を疑ったりするようなことを言われる
・ショッキングな経験を無神経に根掘り葉掘り聞かれる
・セクハラの事実を会社側に訴えたことが原因で、職場で不当な扱いをうける
 
組織の閉鎖的な環境下や、世間体を気にする態度が原因で、勇気を持って告発した被害者が、さらなる被害に遭う事例もあります。セカンド・ハラスメントが起こることで、問題解決が大変難しくなります。
 
※性的マイノリティに対する嫌がらせも一種のハラスメントですが、性的マイノリティに対する理解が不足しているという要因もあるようです。性的マイノリティの一つであるバイセクシャルについては バイセクシャルの意味 とは?多様なバイセクシャルの実態?! をご覧いただければ幸いです。
 

パワー・ハラスメント

 
「職場での地位や権力を利用して、本来の業務の範囲を超えて継続的に相手の人格や尊厳を侵害する言動で、相手に身体的・精神的苦痛を与え、就業環境を悪化させること」と定義されるハラスメントの種類の一つです(1)。より簡単に言うと、自分が相手より優位な立場にあることを利用して行われるいじめ・嫌がらせを指します(1)。
 
 職権を利用してわざと低い評価をつける
 わざと仕事を与えない
 業務上必要のない仕事を言いつける
 継続的に暴言をぶつける
 家柄や生い立ち、容姿など、非難されてもどうにもならない点を非難する
 「お前はいらない」など存在そのものを否定する
 
などといった行為や、それらによって頭痛や胃痛などの身体的な不調や心の不調をもたらしているとき、それはパワハラです(1)。
 
パワハラには嫌がらせの方法によって名前が変わるものもあり、SNSなどインターネットを用いた嫌がらせはソーシャルメディア・ハラスメントというハラスメントの種類となります(3)。
 
ソーシャルメディア・ハラスメントの具体例としては、上司が部下の意志に反して、SNSでフォローや友達申請、コメントや「いいね」の強要をする、部下の投稿にしつこくコメントなどを入れ監視する、といったことが挙げられます。上司が無意識に職場での地位の優位性を、プライベートな領域であるソーシャルメディアに持ち込むことが主な原因となります。
 

モラル・ハラスメント(1)

 
「言葉や態度によって相手に精神的な暴力を与える」のがモラル・ハラスメント(通称、モラハラ)です。心を傷つけるような言動を繰り返し相手に浴びせ、相手の心身の健康を害することを指します。日本では、「モラハラ=DVなど夫婦や家庭の問題」という認識が広がっています。「モラハラ妻」などの言葉が象徴的ですね。しかしモラハラは職場でも十分起こりうるもので、パワハラとモラハラはほとんど同じ意味を持ちます。
 
芸能人の年の差夫婦の離婚劇でも話題になった、夫婦間のモラル・ハラスメントは、家庭という密室で行われることから、家族以外の他人に理解してもらうことが難しく、長期戦になることが多いようです。また、モラハラを行っている本人は、外面は非常に良いのに、パートナーに見せる顔が豹変するという特徴もあります。
 
教育評論家の尾木直樹氏は、テレビ番組で「モラハラ予備軍かどうかをチェックするリスト」として、次の10項目を挙げています。
 
①価値観が違う人を理解できない
②他人の成功話を嫌がる
③疑い深い
④店員や後輩に偉そうな態度を取る
⑤周囲に自分のやり方を押しつける
⑥素直に謝れない
⑦反対意見に怒る
⑧自分に不利だと相手のせいにする
⑨趣味やストレス発散法がない
⑩相談できる友達がいない。
 
7つ以上に当てはまるとモラハラ予備軍で、3つ以下は心配なしとのことです。また、尾木氏は、モラハラ夫の常套句は「お前は常識を知らない」であり、性格的な特徴として「世話好き」があることも挙げています。自分やパートナーの行動によって、モラハラの加害者・被害者予備軍になっていないか、チェックしてみるのもよいかもしれません。
 
離婚原因として増加しているモラハラについて解説している 「モラハラとは ? 離婚原因として、モラハラが増加中?!」 もご覧下さい。
 

職場(学校)に特有なハラスメント

 

アカデミック・ハラスメント(スクール・ハラスメント)

 
これは大学などの教育機関で、校長や教授などが学生や教員に対して職権を背景に行う嫌がらせの種類です(1)。いわば学校版パワハラです。
 
 適切な研究指導をわざと行わない
 機器の使用を認めない、研究試料などを勝手に捨てるなど、研究の邪魔をする
 理由なく研究活動への考え方や姿勢を非難する
 学位・単位などで不公平な対応を取る
 常識的な指導の範囲を超えて厳しく叱責する
 過酷で非合理なトレーニングを強要する
 悪い噂を言いふらす
 不当に他の学校や機関への転職を勧める
 こなしきれない量の仕事を押し付ける
 
などの行為が挙げられます(2)。
 
 

キャンパス・ハラスメント

 
名前だけ見るとアカデミック・ハラスメントと同じような気がしますが、アカハラと違い権力が背景にあるとは限りません(3)。大学内で、相手の意に反する不適切な発言や行為によって、相手に不快感を与え、人権を侵害するような行為を指します(4)。キャンパス・ハラスメントは身近なものによって行われるケースが多く、モラハラ・パワハラ・セクハラなど多くのハラスメントが原因となる場合が多いハラスメントの種類です(4)。
 

アルコール・ハラスメント

 
コミュニケーションの一環で開催される飲み会の場で行われるハラスメントの種類です。
 
① 飲酒の強要
② 一気飲みの強要
③ 意図的な酔い潰し
④ 飲めない人への配慮を欠く
⑤ 酔ったうえでの迷惑行為
 
という項目のうち、一つでも当てはまる場合アルハラとなります(1)。
 

マタニティ・ハラスメント

 
妊婦や出産経験者に対して行われる精神的・身体的嫌がらせを言います。その多くが職場で行われ、
 
 妊娠中、産休明けに心無い言葉を投げかけるまたは激務を強いる
 妊娠や出産を理由に解雇や自主退職を促す
 
などの行為が挙げられます(5)。
マタハラはハラスメントの種類であるだけでなく、デリケートな時期にある妊婦にとってすさまじいストレスとなり、流産を促すリスクもあり、男女雇用機会均等法や労働基準法に違反するケースもありえます(3)。
 

リストラ・ハラスメント(3)

 
会社で、リストラ候補者に対し上司や同僚が嫌がらせ行い自主退職に仕向けるハラスメントです。
 

オワハラ(就活終われハラスメントの略)

 
近年、非常に増えてきているハラスメントです。就職活動中の学生に対し早期内定を決める条件として今後の就職活動を禁止したり、ほぼ強制的に選考企業の辞退等を強要したりする嫌がらせのことです。これには、内定後の合宿の強制参加なども含まれます。
 
企業と学生というパワーバランスが明確な環境下での一方的な支配を原因としていることから、一種のパワハラであるとも言えます。
 
 

人間関係におけるハラスメント

 

エアー・ハラスメント

 
俗に言う「KY」です。空気を読まない発言や態度で周囲の人を不快にさせるハラスメントです(6)。しかし空気を読まずに不愉快にさせてしまう行為は、無意識に行われている場合が多いものです。もともと空気を読むのが苦手であったり、大人の発達障害が原因であったりします(6)。
 
より厳密にハラスメントとすべきなのは「AKY(あえて・空気・読まない)」という、わざと場の雰囲気を壊す行為でしょう。
 

エイジ・ハラスメント

 
年齢に対する偏見や嫌がらせを指し、その多くは女性の間で起きやすいです(3)。「おばさん扱い」や「あの子は若いから…」といった発言で相手の心を傷つける行為です。2015年には、会社内のエイジ・ハラスメントを題材とした内館牧子さんの小説『エイジハラスメント』を原作とした、女優・武井咲さん主演のドラマが放送されました(7)。
 
また60歳以上の高齢者に対して、60歳以下の者が行う身体的・精神的な嫌がらせを「エイジシルバ・ハラスメント」といい、その背景には介護疲れやストレス発散などが見られます(3)。
 

エレクトロニック・ハラスメント/テクノロジー・ハラスメント(3)

 
これらのハラスメントはインターネットなど電子機器が関連する嫌がらせです。
 
エレハラは、嫌がらせのために電子機器を用いて相手の身体に危害を加えることを指し、例えば盗聴・盗撮、人体に害のある電波の照射などが挙げられます。
 
対してテクハラは、ITなど専門分野に長けた人が知識のない者に対してわざと専門用語で話すなど、意図的に不快な思いをさせます。
 
 

無意識に行っているかもしれないハラスメント

 
ここまで、職場や人間関係で起こりやすいハラスメントの種類について紹介してきました。それらのキーワードはずばり「わざと」です。わざと人に不快な思いをさせるわけですから質が悪いですね。
 
しかし実は、無意識に行っている行動が相手にとってハラスメントだった…というような場合もあります。以下に纏めたのはそんな、無意識に行っている可能性のあるハラスメントです(3)。
 
 カラオケ・ハラスメント:カラオケで、強要して歌わせる、断れない状況を作り出すハラスメント。
 
 ジェンダー・ハラスメント:「男だから」「女だから」という性別のイメージからくる発言などによって不快な思いをさせるハラスメント。
 
 スメル・ハラスメント:きつい香水や口臭など、匂いによって周囲に不快感を与える。
 
 ゼクシャル・ハラスメント/マリッジ・ハラスメント:主に未婚の人に対して、本人の意志に反した結婚を促したり、お見合いを設定するなど。
 
 ブラッドタイプ・ハラスメント:血液型による偏見に基づいた言動や行動により不快にさせること。「B型は自己中心的」など。
スモーク・ハラスメント(スモハラ) おもに喫煙者が非喫煙者の意志に関わらず、タバコの煙を吸い込まざるをえない状況に追い込むこと。受動喫煙を避けられないため、健康被害が及ぶ場合も。喫煙者の家庭にも該当する。
 
ドクター・ハラスメント(ドクハラ) おもに医師や医療従事者が患者に対して行う嫌がらせ。加害者側に自覚がない場合でも、患者側が不快感をおぼえたり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症することで、ハラスメントとして成立する可能性がある。病院という閉鎖的な空間で起こることから、患者側が無力感から意見を出せないことが多く、パワー・ハラスメントと似たような状態になりやすい。
 
上記のようなハラスメントは本人は無意識な場合も多いため、突然訴えられて驚く、というようなことがあります。自分の行動を見直したり、相手の反応をよく見て嫌がられていないかを考えて行動しましょう。
 
○○ハラスメントは最近では随分と注目されるようになってきていますが、思ったよりも多くの種類があるようです。大人でも子供でも、相手の嫌がるだろうことはしてはいけません。自分の行動を見直して、ハラスメントをしてしまっていないか確認しましょう。また、自分が受けている行為について「ハラスメントかも」と思い当たるところがあったら、専門機関や会社の相談窓口に相談するようにしましょう。
 
 

【ハラスメントの種類 参考文献】
(1) 岡田康子(クオレ・シー・キューブ代表取締役)・稲尾和泉(クオレ・シー・キューブカウンセラー・主任講師)(2011).パワーハラスメント 日本経済新聞出版社 pp.43-48,76-88
(2) アカデミック・ハラスメントとは http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~epsc/academic.html
(3) degitekunote2  http://degitekunote.com/blog/2015/01/26/harasumento/#i
(4) 明治大学 http://www.meiji.ac.jp/koho/academeprofile/activity/harassment/outline/
(5) DIAMOND online http://diamond.jp/articles/-/36364
(6) ブラック企業を見極めろ! http://ブラック企業.jp/post-1169.html
(7) M2NEWS http://話題・.com/age-harassment.html
 
 
<執筆者プロフィール>
須賀 香穂里(すが・かほり)
神奈川大学人間科学部・人間科学科所属。社会心理学や人間関係をテーマとした執筆活動を行っている
 
 
<監修者プロフィール>
株式会社とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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